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突発星野+嶋
何で+の時はイイ感じな関係なのに×になると、殺伐とするんだか(笑)
しかし星野と嶋というんが好きですわ。



『愛の言霊』



「あ、嶋本さん」
「…おう」
 コンビニで弁当を温めてもらっている間、何の気無しにドアの方に視線を投げれば、見知った顔が目に飛び込んできた。
 特徴のある目元。
 星野だ。
「あれ、今帰りですか?」
「…あれって事は」
「…えぇ」
 主語が無くても会話の流れで、何を指してるかが分かる。
 大羽に聞いたんだろう。
 面白い事ではなく、むしろ無駄知識として少々苛立たしい事。星野と大羽が人に隠れて付き合っていると知ったのは、あいつらがヒヨコの頃。
 別に人に吹聴して回る気はないし、口に出した事で俺が得する訳でもないから黙っていたが、時折少々目に余って。
 …いや、若いっちゅーのとか、まぁ、付き合い初めとか。そんな頃の気持ちとか分からんでもないから。…あとは同じ穴のムジナってのもあって、口にせんかったんやけど。
 研修中の身やで。とそれとなく指摘し注意した事で今では。
 ある意味ツーカー。言わんでも分かってまう。星野とも、大羽とも。…正直必要ないし面白無いけど。
「…お前も遅いな。学校か」
「えぇ。嶋本さんは定時では帰れなかったんですね」
 ぐるっと店内を回った星野がカウンターに籠を置いたのに、少し横にずれて声をかける。
 カウンター奥の壁際の電子レンジは、オレが今買った弁当を温めるオレンジの光。
「隊長やしな。あったらしい隊の為に、汗水垂らして頑張っとるんや尻拭い」
 温めた弁当の入った袋を受け取って、ガサガサと鳴らしながらそんな事を口にする。別に大羽のせいでの残業ではないがそう言ってみれば、星野はははは。と困ってますという響きで笑う声を口に出す。乾ききってるで。
 レジに立って籠の中身のバーコードを読み取っていた店員に、あの。と星野が声を空ける。
「何や、まだ何か買うんや?」
「なんかおでん食べたいって言われたんで」
 どこか嬉しそうに言ってから店員に向き直り、大根、たまご、と星野が続けた。
「…ほー…」
「嫌そうな声出すぐらいなら聞かないで下さい」
 海難が無い平和な海だった今日。明日は当直前のささやかな休日だ。
 きっと大羽から連絡が入って、一緒に過ごすんだろう。仮定してみる。仮定じゃなくて決定だろう。…何でオレあいつらの夜とか考えなあかんねん。
 うへぇ、とかってにうんざりすると、星野は苦笑いを浮かべた。
 お見通しか。
「つうか単純に同じ事ばっか繰り返しとんねんお前等が!」
 膝を上げて太腿をうりうりと小突くと、やめて下さいよコンビニで。と窘められた。
 …上等。本格的にどうかしてやる。と思った矢先に、おでんを含めた会計をよみあげられる。流石にここで暴力沙汰を起こしたら、防犯カラーボールを投げつけられかねない。足を下ろすと、ほっとしたように星野がこっそり息を吐いた。
「ありがとうございました」
 マニュアル通りの言葉をかけられて、星野がレジを離れるのに、一緒に店を出る。
「…何で」
「別に一緒に帰りたい訳やないで」
「たまたまでしょうけど…」
「溜息吐くな!」
 だらだらとだが会話を続けている時に、その相手を放り出して何処かにと言う訳にもいかない、そんな成り行きで星野と一緒に店を出る、ただそういう事になっただけで、溜息吐かれる筋合いは無いで。
「…何でしょう。条件反射?」
「…」
 悪びれずにさらっと言ってのける星野の背中を蹴った。
 いてて、とそう言って星野はよろめいたけれど、多分そうだろうという意識でいたのか倒れこみはせず。
「酷い」
「お前も相当や」
 恨みがましい言葉に、本音で返すと、すいません。と星野は舌を出した。ホンマやで。
 失礼にも程があるわ。まぁ恐怖政治擦り込みした記憶はあるけど、それがオレの立場やったし。
 あ。
「…そういや」
「何ですか?」
「お前大羽に何か言ったか?」
「え?」
 並んで歩いていた(同じ官舎の方向だ、仕方ない)星野が、驚いたような声を上げて立ち止まる。つられて止まって顔を見れば、何か?が思い当たらないといった表情で、星野が首をかしげている。
「…嶋本さん」
「何や」
「…何がですか?」
 本気で分からない、といった声に、なんだか肩をすかされたような気持ちになって、力が抜け。勢い良く肩を落としたから、弁当の袋がガサガサ音をたてた。
「あんなぁ…」
 大羽は、ドラフトで指名した時、元々自分の所属していた二隊の隊長に心酔していたからか、本気で嫌そうな顔と声で(なにせ床に崩れ落ちたぐらいだ)、正直。まぁ、正直な、傷つく行動された。傷付くほどヤワやないけどな。
 ちゃんとお前の資質を見て選んだと、そう言ってもそれは変わらずどこかがっかりと肩を落とし。
 それこそ数日は、決まってしまったものは仕方ない、といった風で居たけれど。
 ある日を境に。
 人が変わったまで言うと大げさだが。確かに、考え方が変わったらしい顔つきをして。
 元々、負けず嫌いで真っ直ぐな性格だ。育てていく中で、それを知った。
 どこか悪ぶっているようで根がいい奴だというのは分かっていたし、それなりのスキルもあると知っていたから、その大羽をかって去年のドラフトでも石井か大羽か、と獲得の選択の中に入れていたぐらいだし。
 いい部分を出して仕事に臨んでくれている。それを分かって、嬉しくもあり。
 何や、誰かになんぞ言われたか。
 二隊長か星野か。そう思って、少し寂しいような気持ちにもなっていて。
 俺の言う事なんか、素直に聞かれへんのやろ。隊長として、それはけっこう切ないわな。
 そんな事まで、たまにふっと考えたりもしてたから。
 だから。
 思わずポロリと出てしまった。
「お前、大羽に今の隊で頑張れーとかそんな風な事言ったんやろ?」
「え?言いませんよそんな事」
「そ?」
「大羽の仕事なのに」
 あっさりと言ってのける星野を指差すと、指差さないで下さいよ。とそう言った星野はガサガサとビニール袋を漁って、さっき買っていたビールを取り出す。
 何となく受け取ると、星野も同じように取り出して、プシュッ。といい音をたてて缶を開けた。
「どうぞ?」
「あぁ、さんきゅう…」
 どこか勢い込んだようだった気が削がれたまま、ビールを開けて一口啜る。
 まだ肌寒い夜の中、啜るビールは冷たくて気持ちがいい。
「…何か言われたとか思うような事があったんですか?」
「…や…」
 あるような無いような。でも大羽が変わったようにしか思えないのは…
「…大羽から」
「ん?」
「大羽から、嶋本さんの隊に配属された。って愚痴めいた事は聞きましたよ」
 そんな事聞かされたら…やっぱ言っとるんやないか?星野。
 口に出さずに、缶を呷る。
「言われたけど…」
 言われたけど何や。
「良かったじゃん。って返して、そのまんま話切上げちゃいましたし…だって二人で居るのに仕事で他の男の話とか聞かされても正直って感じで」
 …。
 は。
「俺の事考えてよ〜って」
 待て。
「星野」
「はい?」
「惚気になるようなら俺はお前を叩きのめす」
「…そんなぁ!」
 星野は、こっちの気持ちなんて全く知らないように、惚気に至る途中だったらしい。話の腰を折られて唇を尖らせる。
 …そうや。
 こいつ、目の上のタンコブ…て言うと失礼やけど、大羽が尊敬しとる二隊長がおらんようになったから、浮かれとる…
 一回落ちでもとに戻ったはずの肩が、またガクーと下がる。
 会話に温度差がありすぎた。
 …
 大きく溜息を吐くと、まだ一口二口しか飲んでいないビールを一気に胃の中に落とす。
 …こちとら隊が離れた隊長とはゆっくりも出来てへんわ…!
 アホの戯れた惚気につきあっとれん。
「ビールゴチになったわ」
 そう言って、空の缶を丁度あった自販機の隣の空き缶入れに押し込むと、アホはほって…と考えてその場を去ろうとした時。
「ほんと、良かったです」
 星野がそう言うのに、足を止めた。
「俺は離れたから、素直に思えますよ。嶋本隊長の隊だなんて、いいなぁって」
 振り返ると。星野はにこにこしながら、ビールを口にして、歩いて、そのまま脇をすり抜けて行く。
「星…」
「思い出せば、嶋本さんがする事はプラスばかりでしたから。そりゃあ理不尽ってその時は思ったし、鬼だどSだ!サディスティック=(イコール)嶋本って皆で言ってましたけど」
 星野はそう言って立ち止まり、待つかのように肩越しに振り返る。
 離れたから。とそう言って目を細めて。
「…だから、良かったねって。それ以上の余計な事は一言も言ってませんよ。尤も、大羽俺がそう言った後、吃驚したような顔してましたけど。何か変わったんですか?」
「…」
 うなづく事も、返事を返す事もしなかったけれど、表情を見て分かったんだろう。星野は、やっぱり大羽だ。と呟いて笑って、また前を見て歩き始める。
「当事者では分からないんですよね。特に嶋本さん、よく蹴ったり踏んだりするから」
 追いかけるように後をついていく形になり。星野が続ける言葉を、ただ黙って聞く。
「…でも、そんなどSで鬼畜に見せかけてる表面だけ、いつまでも見てるガキじゃないですよ。もう新人もドラフト入りしてるんですから。嶋本さんの代の俺達も、ちゃんと成長しますから。俺はヒヨコ脱落だけど」
 黙って聞いて。
「嶋本さんが本当にいい教官だったって…ウグッ!」
 星野の背中の真正面に、思い切りの飛び蹴りを食らわせた。
「あ、あっぶな…俺おでん持ってるんですよ!」
「偉そに言うな!ボケ!」
「…ひっど…照れてるならそう言えばいいじゃないですか!」
「喧しい!」
 特別言葉を重ねられなくても、大羽が気付いた。
 星野は、離れて知った、とそう言っている。
 …これが照れない訳無いやろが…!
 ヒヨコの指導教官の任を下ろされて、隊長はやっと二年目で。
 不安が全く、一欠けらも無いといったら嘘になる。
 そんな状況で。
「誰が照れるか!」
「照れてますよ!」
「…何や〜…海上保安官が陸で死ぬか…立派な最後やったって大羽に言うし」
「ちょ、ちょ…やっぱ鬼、サド!」
「サドなんは俺の表面だけやろ?…あ。今からお前らん所行って飲みたい気分やわ〜」
「い、今思いついたくせに!お、鬼〜!サディストー!」
 これ以上の嬉しい、力になる言葉は、ない。俺やって、人並みに弱かったり、駄目だったりする部分があんねん。
 やから。
 お前等指導できて、ホンマ良かったって、素直に思える。
「ほな星野宅行くで〜!」
「嫌だー!!」
 星野を何度も蹴りつつげらげら笑いながら、そう思った。


 
| | 00:19 | comments(1) |
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Comment
色々はまたあした…
とりあえず、そんな感じ。
きっと、この後、星大的には切ない嶋本さんとの飲みに入り。
『容儀点検の時にキスマーク見つけたら、腕立て+50』
とか。
『非番の前の日には、ぼろきれになるまで大羽の訓練さす』
とか。
『当直前の非番にやりすぎてないかどうかチェックしたるで〜』
等。
色々と嫌がらせを受けるんだろうね〜
でも。
それが嶋からの星野と大羽に向ける愛だから…!
げへへ!
Posted by: なつき@ねもい |at: 2007/02/15 1:18 AM








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