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毎日荒北靖友
狂ってんね(前からです)
愛だよ、愛。
とりあえずそこかしこビアンキのチェレステカラーにしたら見難いの何のおおおう…目が死ぬ。


さて。
実は一年ぐらいまともーな小説っつーかSS書いていなかったので、リハビリです。
ネタは去年の秋口に出来てたんですけど、書かなかったっつーか。
正味一時間半で出来るんならやっとけっつー話ですよね。
時間の使い方が下手なんですが、ちょっとインテで本を出すので。
トッキューじゃないんで申し訳ないんですけど。
でもペダルじゃないんだぜ!
わーきゃー言ってるけどそこまで行ってない。


そんなこんなで、高嶺さんの話を。
星メグっていうか、メグルが片想いの星野は困ってるって言うか迷惑がってる感じの星メグに遭遇しちゃった高嶺さんです。
高嶺さんにHOMO求めて無くてすいません。
俺の聖域。
友達が高嶺さん書いてくれ!って言ってたから。
って言うのと、あと、高嶺さんのてぃんこは飾りじゃないって力説してたけどそこはねー。
あとは真嶋を書きたいんですけど、今日中には無理じゃないかなという逃げを打つ私。
喜んでくれる人がいるものを書こうという気持ちが最近です。






   『 しなくてよかった 』  (高嶺)






「俺、メグルの事そういう風に見れないし、これからも見れそうにも無い」
 その声は、キンと冷えた冬の空気よりも冷たく鋭く耳に届いて、思わずどきりとして足が止まった。
「だから、そんなふうに俺を見ないで。待たないで帰って」
 続けられた声は更に温度を下げ、投げ捨てるような響きで耳に届いたと思うと、コンクリートの上で靴が砂埃をする音を連れて、とても軽いとは言えない足取りの足音が遠ざかっていくのまでが聞こえた。
 耳をそばだてた訳でもないのに、冬は音がよく響く気がする。そう思いながらも、好奇心とは別の感情ではあるのだけれど、それでも盗み見る様な姿で、さきほどの声の元のほうに視線を投げると、
(石井君だ)
 名前を呼ばれていた、石井君がそこに立っていた。
 やや青みがかかった蛍光灯の明かりの下で、その顔色は酷く白い。言葉をとらえて血の気を失っているのか寒いのか。
 きっと両方。
 そう思いながら、思案に暮れる。
 石井君はその場から動かず、声の主の部屋の、その二階の窓をじっと見ている。
 微動だにしない、という言葉通り、全く動かないその様は、遠くからはきちんと判断できないけれど、瞬きさえしていないかのように見えるほど。
 声の主も、知っていた。
 星野君だ。
 いつも柔和な表情をしていて、まだひよこだった頃ですら緊張はあれど生来の本質か、嶋のプレッシャーに耐えながら気遣いの性質でかいがいしく皆に接していたのを記憶しているし、最近は救命士になるために何かと相談を受けたりもしているから。
 あんなに厳しくて、冷たく突き放す声を出すなんて思いもしなかったから驚いたと共に、少し困った。
 部屋に帰るのに、あの場所を通らない訳には行かなくて。
 同じ官舎の、棟は違っていても同じ共通の通路を通らなければならないその場所で、剣呑な声を投げつけられているのを聞いてしまっては、さて、すぐに通り過ぎる訳にはいかない。
 かと言って、今日は寒かった。
 寒波到来、と職場での気象情報で知っていた通り、日が落ちた後にみるみる低くなる気温の中、皆早足に帰路に向かう。
 纏まらなかった仕事を真田隊長と片付けて、官舎内の通路ですらある帰宅の波から外れたこの時間帯は、棟の中に人はおれど、公共スペースや通路は無人。暖かい光がそこかしこから漏れるのに、みな、自分の部屋の温もりに安堵している時間帯。
 がらんどうの官舎の通路、人がいない分寒さが増したそこを早く通り抜けて、冷え切ってはいるがそれでもスイッチを入れれば古いけれども確かに体を温めてくれる暖房のある、自分の部屋に戻りたいと切に願う、そんな状態で。
 どれぐらいのタイミングで、通り抜けるか。
 そう思案しながら腕の時計を見る。
 星野君が居なくなってからはそれなりに時間が経っていると判断していいか。
 そう思って、もう一度石井君を見る。
 石井君はそのまま、先ほどと同じ姿で、ピクリとも動かずに星野君の部屋を見つめている。
「……あれ……?」
 視線の先、多分星野君の部屋であろうその場所。
 一度参考書を持って、訪問した事もあるその部屋。
 自分の都合で何時に行けるか分からないから、と前置きしてお邪魔したのに、恐縮して何度も頭を下げる星野君に、いいから、使ってね。とそう渡したあの日の星野君のあの困った様で嬉しそうなあの表情が頭の中に浮かぶ。
 手ぶらで返す訳にはいかないと、手土産にと甘いものを用意していたあの星野君と、星野君の表情と、それと反した冷たい声が頭の中でぐるぐると回った。
 そんな事を考えながら見上げた、その視線の先のその部屋は、灯りがともっていなかった。
 立ち止まってしまったから、そして確認をするのは下世話な様な気もしていたからその場にとどまっていてはっきりはしないけれど、自分の知っている星野君の声。
 遠ざかる、階段を上がっていく足音。
 彼の部屋は二階だから、もう部屋に入っていてもいいはず。そう思いながら、そう言えばこれだけ音が響くのに、あの立てつけの悪い、軋む金属扉の開く音がしなかったと、改めて気が付いた。
 部屋に入っていないのか。
 そう気がつくも、駅からここに来るまでに体は大分冷えている。潜めるように溜息を吐くと歩きだした。
「あれ?石井君?」
 こちらから気がついてしまえばいい。気がついたと、演じてしまえばいい。そう思いながら声をかけると、ギクリ、とした様子で石井君がこちらを見る。
「……高嶺さん」
「どうしたの?今日は寒波が来るって、基地でも話して嫌だって言ってたのに。誰か待ってるの?」
 意地が悪い聞き方だな。と内心思いながらそう言うと、石井君はいいえ。とはっきりと言った。
「誰も、待っとらんと」
 そして、少し緩んだ口調でそう言いながら、こちらに向き直る。
 こちらに真正面から向き直った事で、眼鏡に蛍光灯の明かりが反射して目が見えなくなって。
 そうなってしまうと石井君の表情がどうだか良く分からない。
 待っていないという声からは、石井君がどんな気持ちでそう言ったかが、判断つきかねた。
「そう。俺より先に帰ったのに、ここに居るから誰かと待ち合わせでもしてるのかと思った。ごめんね、変な事を聞いて」
 じゃあね。とそれだけ言うと、石井君の横をすり抜けるように、自分の部屋のある棟へと向かう。
 数歩歩いて振り返ると、石井君は今度はその向き直った立ち位置で、視線を落として立ちつくしていた。
 例えば。
 もう一度声をかけて、どうしたの?ともう一度聞く事も出来る。
 そう思って、台所に何があったかを考える。ココアの買い置きは無かったけれど、甘いカフェオレなら作れなくもない。
 そう考えて、そして小さく頭を振って、あぁ、そうだ。とわざと声を上げる。
「石井君」
「……はい?」
「今晩はもっと冷えるから、あるなら布団を一枚増やすといいよ。基地を出てくる時、更に冷え込みが増すって言ってたから。風邪をひくと仕事柄、厄介だからね」
 そう言って、もう一度石井君に背中を向ける。返事は待たずに歩きだすと、
「そうします」
 普段の彼からは考えられないほどか細い声で帰って来た。
 だから、聞こえないふりをして、そのままどんどん、足を進める。
 石井君は普段無愛想にしているから、返事が返ってきたなんて分からないんだ。と言うかのように。
 自分の部屋のある棟に辿り着いて、集合ポストを探り、自分宛の郵便物もDMも投げ込みのチラシも、全部一緒に掴んで階段を上がる。
 やっぱり悴んでしまった手で鍵を開けて扉を開けると、そのまま靴だけを脱いでまずは、と暖房のスイッチを入れ、鍵を閉める。
 ざっと手を洗ってやかんを火にかけ、部屋が暖まるまで小さく足踏みをしながら、郵便物を仕分ける。
 緩やかに部屋が暖まってきた頃やっと上着を脱ぎ、湯が沸く気配がするのにもう一度手を洗ってマグを用意すると、インスタントコーヒーの用意をして、部屋に落ち着く。
 一口飲んで温かい溜息をひとつつくと、カーテンの向こうを見通すように、視線を外に向ける。
 石井君は、部屋に戻っただろうか。
 星野君はきっと、どんな事があっても、石井君を部屋には入れないだろう。
 だから、部屋に戻らなければ。ずっとあそこに。
 自分の部屋の窓からは、あの場所は到底見えないから、立ち上がりもせず、それでも、カーテン越しに視線を向ける。
 例えば。
 例えばさっき思ったように、どうしたの?と声をかける事も出来た。
 そのまま、家においで。とそう言って、温めたミルクと砂糖とで、カフェオレを作ることだって、出来た。
 けど。
「きっとそれは、石井君は一つも望んじゃいない」
 言葉にすれば確信になる。
 寒さをものともせず、投げつけられ、心を切り裂く様に向けられた言葉を受けても、視線を向け続け、立ち続けていた。
 他の人からの優しい言葉や、甘い飲み物など、石井君は欲していない。
 欲しいのは、星野君から与えられるもの、全て。
 あれ以上の言葉などかければ、彼らの関係性にある、例えるならば溝や亀裂の様なものに、余計なささくれを立てるだけだろう。
 下手な優しさなど、要らない。
 あの場所に居る石井君は決して幸せではない。けれど、心が星野君に向かっていること。そして、寒空の中扉も開けずに、部屋にも入らない星野君の意識が石井君に向いている事、その繋がりが、石井君を完全なる不幸にはしていない。
 たとえ、傍目に不幸。と、そう見えていたとしても。
 それでも。
「明日、きっと風邪をひいてくるだろう」
 自己管理が出来ていないと、真田隊長は少しだけ眉間に皺を寄せ、石井君はそんな自分を恥じることだろう。
 それでも、今、石井君がこうしている事に、石井君の中で矛盾は無いんだろう。
 人を慕う心と言うのは、何とも厄介だ。
 苦笑しながら、それでも、今日の、今、優しい行為をしなくてよかった。とそう思う。
 それでも、明日の石井君の為に。
「誰かが持ち込んだココアがあったはずだな……」
 卸し金もあったはずだから、生姜を一欠けらもって、明日は出勤しよう。
 途中で牛乳を買って。
 今日しなくてよかった優しさを、明日に持ち越そう。
 それぐらいはきっと、石井君も受け取るだろう。


 

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