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『 針鼠のジレンマ 』
050307









 失敗した。
 珍しく。

 『石井お前何しとんねん!ドアホ!』

 気が緩んでたのかもしれない。結索があまり得意でない部分は解消したと思っていた。

 『もぉええ!よう解ったわチンカス。残ってそこにある索全部編んどけ』
 『ドアホ!チンカス以下じゃ!ボケェ!基本も出来んでようトッキューにのこのこ来れたな。厚顔無恥もいいとこや。消防スキルがなんぼのもんじゃ!それとも何か?そんなことも理解出来んほど、脳味噌入っとらんのか?そん中に詰まってんのは消火薬剤か?安全ピン引っこ抜いてレバー握ったろか?』
『石井だけ残してみんな帰れ!もし手伝いでもしたら皆纏めて刻んでタマちゃんの餌にしたるわ!刻む前に多摩川さらわせてタマちゃん探さすからな!解ったか!解ったら解散!』

 本当につまらないミスだ。
 基本の結索の練習というのも今更になって情けない。

 だから正直、誰もいないシャワー室から出てロッカーに向かう中。腐っていたのは、紛れも無い事実で。
 嫌がらせの意味もあったのかもしれない。
 八つ当たりの意味もあったのかもしれない。
 とにかく、最悪の気分である事には間違いない。

「よぉ」
 声をかけられてしばらく黙っていたのは、口を開くのも億劫な気分だったから。
 聞き覚えがあるなとのろのろと顔を上げれば、少なからずも驚いた。
「何してんだ?石井」
 着慣れないスーツを着た坂崎に、ここで会うとも思っていなかったけれど。
「…班長さん。何しにきたと」
 下から睨みつけるようにして見てそれだけ言うと、機嫌が悪いのは疲れのせいだろうとでも都合のいいように勘違いしたような笑顔で、
「様子を見に、な」
 そんな事を言われた。
 様子を見に?
 何馬鹿な事言ってるんだ。
 少しだけ視線を下げると、小脇に抱えた封筒が見える。
 あぁ、そう言えば今週研修があるとかいってたな。
 事務所の掲示板に張られていたお知らせをふと思い出す。
 管内の事務所ごとに一人ないし二人呼び出されて受ける面倒な研修に来たって訳か。
 お人よし。そう思いながら唇の端をくいと上げる。
 様子を見にって、真田隊長や兵悟君の顔が見れるってんで、面倒な研修に自分から進んできたんだろう?
「誰のね」
 真田隊長だったら、どうしてやろう。
「それは」
 口篭る。面白くない。
「兵悟君?」
「ん、まぁ、そのなんだ…」
 視線を背けて、話を変えようとするかのように口の中でもごもご何事か言っている。
 何、そんなにこの話が嫌なのか?
 無性に腹立たしい気持ちと、自分の中で沸いて来る苛つき。それが綯い交ぜになって反吐が出そうだ。
 何でこんな奴が気になる。
 しょぼくれたオヤジ、髪の生え際はもうハゲがはじまってるような。
「隠さんでもよかと。こげんとこまで来るのは兵悟君可愛いかもんね」
 競技会でも、その後の打ち上げでも何かとかまっていた姿を思い出す。
「ちょっ…おい」
「真田隊長にも会ったと?」
 競技自体参加しないためか、それとも聞き出したら潜水同期だからな訳か、親しげに話し、下の名前で呼び合う姿を思い出す。
 思わず奥歯に力が入る。
「来たからには、ついでに甚にも会ってきたよ」
 ついでという言葉が癇に障る。そんな事口にしなくてもいいのに。
「おいもついで?」
 その喋ってる言葉は意識的にそうしてんのか?それとも無意識か?
 無意識なら性質が悪い。
 苛つく存在。
 だから。
 あの時。
「…石井」
 ねじ伏せてやったのに。
 黙ってやると、そろそろと手が伸ばされて俺の体に触れようとする。
 馬鹿じゃないのか?自分を強かに傷つけた男に簡単に近寄ってきて。
「なれなれしくすんなさ。…それともまたおいに抱いて欲しい?」
 そう口に出して、あ、こいつは抱いて欲しくてここに来たんだ。そう思うことにした。
「なっ!」
 薄く笑って右手で坂崎の宙で止まった右の二の腕を痛い位に掴むと、目の前の顔が歪む。
 俺のほうが少し背が低いけれど、筋力はこちらのほうが断然上だと思い知らせるように壁に体を押し付け、腕でもってその胸を押しながら押さえつける。
 痛いはずなのに、どこか困ったような表情も併せて浮かべるから、そんな表情を打ち消してやる為に唇の端を解るように吊り上げて笑い、その笑顔を瞳の中に映るのを確認すると耳元に寄って囁いた。
「アンタ可愛いかね。そげんおいの体忘れきらんと?」
 偽者の甘さを含ませて身に着けているのはタオル一枚の体を摺り寄せながら言葉を形作ると、面白いように顔色を無くして、
「そんな訳ネェだろ!」
 怒りを帯びた声でそう言って、押さえつける俺の体から身を捩る。
「なら帰れ」
 俺は何もなかったように腕を掴む手を離し、体も一歩後ろに引いてそう投げつけた。
 今日は追う気は無かった。
 なのに。
「何でそう邪険に言うんだ」
 どう聞いてもその声には寂しさが滲む。
 …訳がわからない。
 自分を犯して支配した男だろう?俺は。
 本当に抱かれに来たのか?それが本当だったら、本当にどうかしてるんじゃないか?
 ならば。
「班長さん。アンタ自分の事知らん」
 傷付けてやろう。
「は?」
 怪訝な顔をする。アホ面に拍車がかかって、俺の言葉に勢いをつける。
「アンタ普通やなか。ただ居るだけで、色気垂れ流してんの気付いとらんと?」
「何、馬鹿な…」
 視線が左右に揺れる。そんな馬鹿な事は無いと、必死に否定するように。
「アァ、そういうの本人は気付かんのよ。でも、アンタ相手にチンコ立ててる奴結構おるよ」
 けっこうは言いすぎか、それでも、居る事は居る。
「馬鹿言うな」
 怒りなのか羞恥なのかよく解らないが、坂崎の顔は目の前で紅潮して行く。
「そんな事言って、アンタおいが初めてじゃなか。アンタの中は男ば知ってた」
 言ってやった。
 本当か嘘かは分からない。締め付けの具合で男を知ってるか知らないかなんて容易に判断なんか出来るか。
 でも、それでも。
 目の前の人物にパクリと口を開ける傷をつけたのには間違いが無い。
 目を併せず閉じて俯いた顔に、溜飲を下げた。
「やけんはよ帰れ」
 捨て台詞を残して、俺は着替える為にロッカーに足を向けた。
 着替えて、早く官舎に戻って。憶えなきゃならないことはまだいくらでもある。ひよこ隊のうちにしなきゃならないことは本当に山で頭が痛い。
 なのに。
 背中の後ろは、動く気配が無い。
「何ね、まだおると?」
 苛立ちが湧き上がって仕方ない。振り返り、もとの位置に戻って見上げる。
 坂崎は、俺には腑に落ちない顔でそこに立っていた。
 泣く、とまではいかないが。どうにも心が落ち着かない気分にさせられる表情を浮かべて。
「…仕方なかね、可愛がってやるばい」
 そう、口に出す。
 そして、そのまま。
「ン!」
 口を塞いだ。
 驚きなのか薄く開いた口に、強引に割り入って舌を絡め取る。
 スーツのネクタイに指をかけて緩めて解き、まるでこれからそんな運命を辿らせるように床に投げ捨てる。
 唇を合わせたままスーツのボタンを外し、ワイシャツの上から胸の頂きを業と撫で上げるように手を差し入れて、上着を肩から落とすと足元に力なくたまる。
 唇を外さないまま唇から顎に流れ、そして咽喉に吸い付き。その下でワイシャツのボタンを外すと、既に赤く染まる筋肉質で締まった胸が現れる。そのままベルトやズボンにも手をかけて解く。
 違う違う、と離れた口からうわ言のように繰り返すのを無視しながら。
 オヤジでも潜水士。程好い胸の筋肉に歯を立てると、やっと手が動いて俺の体から逃れようともがく。
「シャワー室があいとうよ。…でも声漏らしたら外に筒抜けやき、頑張って声抑えんか」
 咽喉元から見上げるように囁くと、耳が一気に火を吹きそうな色に変わる。
 既にシャツは殆どはだけて、スーツはよれて、それ以上にその中の体は俺に傾いている。
 直に触れずとも、坂崎の自分ではどうにも出来無い器官が反応しているんだろう。
 それでも違う、とまだ言うから、無理矢理に口を塞げば触れた体にピクリと反応するものが当たる。
 引き摺るようにシャワー室に連れ込み、個室に入る前に殆どのものを脱がせた。
 殆ど抵抗といっていいほどの抵抗をせずに大人しく脱がされる様が滑稽で笑うと、羞恥に怒りすら帯びた表情を見せるのに、それでも何故か大人しい様子に冷笑が浮かぶ。
 抱かれに来たとしか言い様が無いだろう。
 何が違うだ。
「ほんにアンタの体は淫乱やね。ちょっとキスしただけで、もうこげんしとう」
 面白いほど素直に脱がされて、外気にさらされた坂崎の体の中心は、既に蜜を垂らしている。
 点々と脱ぎ散らかされた服に業と視線を向ければ、顔の紅潮に比例するようにヒクヒクと揺れる。
 個室の扉を開けて乱暴にその体を押し込めると、口の中に溜めておいた唾液を指先に塗りつけすぐに後孔を抉った。
「うぁ…」
「きつかね、アンタの後ろ。誰ともしとらんと?こげん好きもんの体、よう辛抱しとると」
 せせら笑って、指でぐりっと押しつぶすようにすると、びくりと鮮魚のように跳ねる。
 その様が面白くて、何度も何度も擦れば、やがてタイルに爪を立ててその衝動を堪えるようにするから、面白くなくなる。
 なら、と焦れるようにそのスポットを避ければ、自らが擦りつけようとするかのように腰が揺れた。
 その動きを執拗に避けて、内壁をえぐる。
 女のように濡れるというわけではないが、さすがに内臓を抉られれば、体が反応して粘液を出す。
 それを指に絡めながら、慎重にそれでも手酷く嬲るのに、指を奥に進めるようにする。
 あまりに鋭敏に反応するのと、そして、内壁に傷がついた様子も無いのを指先だけで確認して。
 言葉通り、行為の痕跡が無い事を知ると、口の端が無意識に持ち上がった。
 後ろから覆い被さるようにして、耳元に口を寄せて息を吹きかけると、小さく震える。
 くつくつと笑いながら、声をかけた。
「おいも最近しとらんき…おい、何で急に締めると!おい!」
 言葉の途中で、急に内壁と入口が閉まった。
 たかだか指一本だが、きつく入口を閉められれば痛むまでは行かないがさすがに窮屈だ。
「締めてなんか…」
 押し付けられた顔を必死になって捩って、肩越しにそう否認するけど。
 体がそうは言ってないんだというように咥えられた指ごと手を動かせば、抜ける様子がないから口篭る。
「きつかもん締められて、おいの指が抜けんもん。おいがしてないのが嬉しかね?」
「ちが…違、う…っ」
 何が違うだ。本当に。そんな言葉口にすんな。
 二本目の指を無理矢理押し入れて指同士を擦ると、あぁ、と大きく息を吐いて、またびくりと跳ねた。
 タイルに縋り付くようにしている坂崎の指先は、力を込めすぎて白い。
「嬉しくなかと?面白くなかばい。別な人がよかね?」
 言葉に併せたように、つい乱暴に指が動いてその場所を強く擦ってしまう。
 坂崎は跳ねる背を必死に逸らして、タイルから少し体を浮かせてかぶりを振った。
「それ、も、違…う…」
 なら。
「おいとするのは嬉しい?」
 抵抗するのは許さずに、坂崎の背に体を重ねてそのままタイルの壁に押し付け耳元に問う。
 けれど返事はなく、ただじっと堪えるように体に力が入るだけで。
 何か返させようともう一本指を増やせば、悦過ぎたか膝がガクガクと揺れ、前が粘液をより吐き出して揺れて壁に触れているのか、くちくちと小さな水音がする。
 イかせちまう所だったと小さく舌打ちをして、指の動きを止めて、伺う。
 けれど貝にでもなったかのように、坂崎は押し黙ったまま。
 ふつ、と怒りが湧く。
「強情やき…アンタ。やっぱり大好きな真田隊長としたいと?」
 この淫乱な体を真田隊長の前で開くつもりだったのか?
「甚は、甚と俺はそんなんじゃ…」
 指の動きを止められて少しは余裕が出たのか、押し黙っていたのが嘘のように否定の言葉を紡ぐ。
「なら兵悟君?」
「違…」
 違う。もうその言葉はうんざりだ。
「うわ、あ」
 黙らせる為にめちゃくちゃに動かしてから指を抜いて、タイルの壁に押し付けた体がこっちを向くように反転させる。
「声出すと聞こえっぞ」
 そう言って片足を高々と持ち上げると、そのまま一気に挿入した。
 既に自分の中心も、ぬるぬると滑っていたのも坂崎の体重がかかったのも併さって、一部窮屈な思いをしたものの、すんなりと内側を貫いた。
 声を出すと聞こえる、と言われて咄嗟に口元を自分の手で塞ぎ、噛み締めながらもううとくぐもった呻きが坂崎の口から漏れる。
 奥まで確りと辿り着くまで埋め込んでから、ゆっくりと坂崎の体ごと揺らすと、もう片方の腕が俺の体に回されて背中をきつく掴まれる。
 痛い。と思ったが、それ以上だろう坂崎の苦痛の表情にそれぐらいは許してやる事にし。
 そして、ゆっくりと抽送を開始した。
 動き出せば、苦しそうな呻き声はやがて艶を帯び、ただ息苦しいだけだった顔の赤みは、体全体に悦楽の色を広げていく。
 口元では押さえきれなかった喘ぎは、息をつくごとに甘ったるく鼻から漏れる。
「あ。ゴム持っとらんばい。中で出す」
 言われてびくり、と坂崎が震え、背中に回された腕が戦慄く。
 中出しされれば後が辛い事を、前に痛いほど知ったから。
 けれど戦慄いた手はやがて、悦さを堪える力に転換する。
 俺の腹との間で高々と天を仰ぐそれは、射精はしていないもののたまりきっていたのか射精相当量を吐き出して、俺との間に糸を引く。
「やけん、班長さんはもういっぱい出とるとよ?」
 言われて坂崎は見なければいいのに震えてじくじくと欲望を漏らす己自身を見て、羞恥に首を左右に振る。
「ま、シャワーで流せるき、心配せんと。あんたも恥ずかしい汁いっぱい出せばよか」
 恥ずかしい汁、の言葉が坂崎を煽ったか、
「ン!きつかね…」
 生殖行為ではないはずなのに、吐精をせがむかのように内壁が締まって蠕動する。
 それに応えるように律動を早めて、俺は突き放すように、それでいて甘く囁く。
「…おいは優しかよ。奥さんにばれんよう、印も付けんで家に返しちゃるもんね」
 目の前の顔が悲痛に歪む。家庭を思い出させられるのには、なんて最悪でこちらにとっては最良のタイミング。
 この平和ボケする男を傷つけるのは、酷く気分がいい。

 全部嘘だ。
 全部全部嘘だ。
 むかついたり、傷つけて気分が良かったり、そんなのは全部嘘の事なんだ。
 一つを残して。
 …本当は、全部知っている。
 苛ついたり、むかついたり、気になったりするのが何故なのか。
 本当は知っている。
 そう言って、自分がスタイルを作り出している事が。
 全部解りきっている。
 そうやって、自分の中でまで否定しつづけている事の虚しさを。
 けど、もうこんな風にしか睦み合えない。
 こんな風に相手を痛めつけるやり方でしか、愛し合うことができない。
 もっと別な。

「アァ!」
 いつの間にか両手は俺の背中に回って、何かを追い払いたいかのような坂崎の口からは高い声がひっきりなしに漏れる。
 より深く繋がろうと両足を抱え込めば、不安定なまま腰に足は絡みつき、壁と、俺とで支えるようになる。
 だから、双丘を割り広げるように持ち、より、腰を突き出す。
 すれば貪欲に咥えこまれて、思わずイってしまいそうな眩暈がする。
「クッ…」

 そう、もっと別な。
 もっと別な方法を探しながら、それでも。

「班長さん…」

 変わらず痛めつけるしか出来ない。

 一言言ってしまえたら。

「や、やァ、やイク…」

 それは出来そうにも無い。
 一度つけた道筋をかえる事は、とても。
 そう思いながら、泣きながら俺にしがみ付いて愉悦に震える深い深い絶望の奥に向かって吐精するばかり。







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