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『 ゆらゆら 』
051008初出 060917









 気が付いて、泣きたくなった。
 大羽が好きだって思う気持ちに、改めて気が付いて。
 あの夜。
 大羽を見て、大羽を好きだと思って、好きになって欲しいと思って、握った手と指。
 そこから好きが伝わればいいのに、と、握った指先の自分と比べてみた細さとか、しなやかさとか、節の固さとか。
 そう言うものをただ思い出したかっただけだったのに。
 気付いて。
 きっと。
 受け入れては貰えない。
 男だから。同性だから。
 同じ男の体に欲求を覚えられるのなんか、嫌悪以外の何者でもない。
 言った所で、大羽の事だから無下に気持ち悪いなんて言わないだろうけど。
 きっと、真っ向からきちんと拒絶の言葉を貰う。
 元に戻れずにギクシャクする。
 もう。

「…どうした?星野」
「え?何?」
「何か元気が無いのぉ。目に力がないけぇ、どうした?何か悩みでもあるんか?」

 心配そうに見つめられるのすら、嬉しい、そして辛い。
 言ってしまったら、もうこんな風には。
 お互い生活を元に戻そうと努力しながら、それでも薄膜を貼ったように何かを遮蔽していくだろう。
 だから絶対。

「別に何でもないんだけどなぁ、疲れ、たまってるぐらいで…」
「確かに一晩ぐらいでは解消されんのう…軍曹の扱きで体はガタガタじゃけぇ…」
「そうそう。きついよね」

 でも。
 きっと。
 こんな風に近くにいたら、きっと。
 押さえ込めない。
 気持ちの止め方なんか、知らない。
 今までこんな風にどうしようもなく強く思ったことが無いんだ。
 だからその気持ちがどんどん膨れ上がっていくのを止める術なんか俺には分からない。
 いつか、この辛うじて留まっている感情は決壊してしまうんだろう。
 そのとき、俺はどんな事をする?どんな行動を起こす?

「まだ始まったばかりだし、どんどん慣れても行くだろうし」
「あいつらには負けたくないけぇ。勿論星野にもじゃ」
「あはは。俺だってそうだよ」

 そのいつかが来るのが、俺は怖くて仕方が無いんだ。



















END
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