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『 熱情 』
050815初出 060503








 二人の吐息で、空気の密度がより増した。


「…っはぁ……」
「…っう…」
 呼吸のテンポかプレストからアレグロまで落ちる頃には、重なり合っていた体も離すことが出来るようになるから。
 ゆっくりと腰を後退させみっしりと埋まっていた部分を抜けば、温いものがその隙間を緩やかに埋めるように、ぬるりと吐き出した粘液が動く。
「…ふぁ…んっ…」
 いっぱいに奥まで占められていたモノが抜ける感覚に、体の下の大羽が艶めいて呻く。
 排出する感覚は挿入の感覚とはまた別の悦を呼ぶのだという事がまざまざと思い起こされて、力を無くしていた筈の中心がひくりと頭を擡げる。
「や、…ま、また…?」
 行為の再開を予測して、厭うようなそれでいて酷く扇情的な声を上げるのに、思わずそのまま腰を進めれば。
「っあ、…あ、モ、…モト…あ……ふ…ぅん…」
 一度高められた体は容易に応えて、突き上げるたびに漏れる喘ぎ吐息呼気総てに、どうしようもなく煽られる。
 あぁ、もうどうしようもなく。


「こんな熱帯夜に…何でワリャぁ…」
「…ゴメン」
 何度も何度も愛し合って。注ぎ込んで、塗れて。
 もう指一本も動かすのが億劫だとばかりにシーツの波間にうつ伏せで沈みこんでいる大羽が、それでもこれだけは言わなければいけないというような響きで首だけを横に向けて言う言葉に、素直に謝る。
 官舎の古ぼけたクーラーでは冷やしきれない、昼間の熱を帯びたままの夜に、何の前置きも無く大羽を、大羽の部屋のベッドの上に組み敷いて、そのまま。
 何度。
 大羽の痴態を思い出して、ゾクリ。となる。
 外気と肌の温度が一緒で、何処までが空気で、何処までが大羽で、何処までが俺だか分からない、そんなセックス。
「ゴメン」
「…謝らんでもえぇけぇ…するならちゃんと……」
 大羽が語尾を濁して、そのまま黙り込む。灯りを点けない部屋で外からもれる光で伺い見るだけでも、顔を中心に赤く染まっているのが分かる。
「ゴメン」
「じゃけぇ…」
 だって。
 押さえきれなかったから。
 大羽は気が付いていないのかも知れないけれど、こうやって肌を重ねる機会を増やせば増やすほど。
 大羽は。
 どんどん艶めいて、何気ない所作にも、無自覚なまでの媚態をもっているのに。
 女性的になっていると言う訳じゃない。大羽は完全に一人の男でそれでしかない。
 けれど。
 その眼差し、仕草。
 今夜はどうにも堪えきれなくて。
「ゴメン」
「…モトは謝り癖がつきすぎじゃ」
 仕方ないのう、と言って、柔らかく笑う目元に、誘われてキスを落とすと、コラ!と、叱咤の声が上がる。
「ゴメン」
「また!」
 違うよ、大羽。
 これは未来の大羽に対しての謝罪。
 このまま大羽がどうしようもないほどに媚態を増していってしまうなら。
 俺は大羽を閉じ込めて、誰にも見せないようにしちゃうかもしれない。
 なんて。
 思ってみたりして。
「だって、ヒロがいけない」
「…なんじゃあ?」
「ヒロがエロいんだよ。何してても俺のこと誘ってるとしか思えないぐらい!…もしかして誘ってない?」
「…」
 そう口に出すと、大羽はあきれたような眼差しで俺を見る。
「ヒロ!」
「馬鹿モト」
「!馬鹿じゃないよ!」
 本当に。
 こんな風に色気を垂れ流しにしてたらきっと…
 そんな風に心配しちゃうのは、どうしようもない事なんだよ。
 現に目の前の大羽は。
 程好く確りと筋肉のついた腕や背中の肌は、触れたくなるほどに。
 ごくりと咽喉を鳴らしてしまうと、大羽は呆れたような表情を少しだけ和ませて、けれど、俺からは少し目を逸らして。
「そりゃぁな…モトがおるからじゃろ」
「…え?」
 大羽はみなまで言わすな。と呟くと、逸らした眼差しを一瞬絡めて。
 薄く唇を開くのに、誘われるようにキスを落とせば、戯れるように唇を食まれる。
「…俺の解釈でいい?」
「…そがぁな事聞く必要はなぁで」
「ん」
 俺が側にいるから、大羽は。
「…イイ?」
 食まれた唇と同じ所を軽く噛むキスを落としてそう問えば、まだするつもりか?と、言葉ではそんな風に言うくせに。
 肌も目も、ましてやそう言った唇も。
「…じゃあ、いっぱいしようね…」
「暑いけぇ、嫌じゃのう…」
「ふふ」
 裏腹な言葉を紡ぎだす口と舌を、強く嬲れば同じように返るから。
 そのまま、もう一度、二度、三度…




 後日。
 停泊していたおずから、大羽がひよこの皆と防災基地にいるのが見えた。
 向こうはこっちに気付かなかったから、そのまま声をかける事無く、ずっと。
 真面目に訓練する様を眺めていた。
 相変わらず愛しい事には変わらないけれど。
「…ホントだ」
 一人の大羽を危惧する事など全く必要が無い事を知ったけれど。
 代わり。
「やっぱり、部屋に閉じ込めておきたくなるかもなぁ」
 だって二人と居る時に、誰が見るとも限らないもんなぁ。って、そう思って。
「嫉妬深くて嫌になるよ、ホント」
 いつかそうなる事を危惧しながら、船縁を後にした。


















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