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『 あなたが寝ている間の 』
050417初出 050526 連作 テーマ『指先と眠り』







「…―――クッ…」
 開放した飛沫を最後まで出し切って息を吐き出し、ほう。と息を吐く。
「…班長さん?」
 体の下に組み敷いた筈の坂崎が反応を返さないのに呼びかけると、体中から力が抜けて、くたりとしている。
 どうやら意識を手放したらしい。
 両膝を肩にかけて、膝が胸につきそうなほど折り曲げるようにして無理矢理挿入した体。
 別に失神されるのは初めてじゃないが、こう簡単に落ちてしまわれると不満が募る。
 最奥に向かって射精したときの体の反応が、意識から外れてしまっているのは、存外つまらないものだ。
 そこに集中していた筈の、抵抗の意識が抜け落ちてしまっていれば、坂崎の体は貪欲に悦を求める動きになる。
 貪欲に、メグルの精を搾り取ろうという動きになる。
 道理で最後の具合が良かった筈だ。
 どうせ見えないからとあからさまな失望を表情に出したまま、坂崎の後孔から自身を引き摺り出す。
 抜かないままに三度の射精を繰り返した秘部は捲れあがった肉が充血して赤く、柔らかくメグルを咥え込んでいたから抜くのは少し残念だったけれど。
 こんな状態で嫌悪の反応がない体相手に抜き差しを繰り返したとしても面白みが無いじゃないか。
「つまらんばい…」
 自身を引き摺り出して、枕元に置かれたティッシュで拭う。
 ふと坂崎の秘孔に目をやれば、ずっと入れっぱなしだった其処はすぐに収縮する事もままならないように口を開けたまま、こぷりとメグルの精を垂らした。
 そのままにしておけば、坂崎があとで酷い事になるなと、メグルはぼんやり思う。
 …後始末、ということで風呂場に連れ込むか。
「班長さん」
 失神した坂崎の頬を軽く叩く。
 今日の行為が坂崎の体には相当きつかったのか、ピクリともしない。
「…目ば覚まさんか、オイ。班長さん」
 ペチペチと、叩く。反応は返ってこない。こっちはレスキューのプロだから、ただの失神なのは見て取れるが。
 あまりにも無反応な坂崎に気がそがれてしまって、メグルは息を吐くと、比較的汚れの無いあたりのベッドにごろりと横になった。
「なんで、しょぼくれオヤジに…」
 こうも執着するのか。気絶している坂崎を横目に、自分でも良くわからない感情を持て余したまま息を吐く。
 快活に笑う姿。兵悟に対して発せられる怒気に混じる心配の声。真田と話す寛いだ表情。どう見ても上品とは見なせない、飲み食いする姿。
 どう見ても凡庸なだけの存在だとしか思えないのに、劣情を含ませた加虐心をそそる、
 ねじ伏せて、泣かせてやりたいと思う感情のままに組み敷いた体が、習慣性を帯びるほど具合がいいのも、凡庸とのギャップで、いい。
 奥さんにばらすぞというような事をちらつかせて誘い出して、もう何度目になるか。
 すっかりはまっている。
 性欲処理には都合のいい道具だ。
 なにせそこらの女よりも、締め付けがいい。
 気を使う必要もおだてる事もしなくていい。
 具合。
 思い返すだけで、クる。燻る。
 やはり、風呂場でもう一度。
「…いい加減起きろさ」
 もう一度、頬を叩く。
 肩を掴んで揺さ振る。
 その時。
「…」
 思いがけないものが、閉じた瞼の隙間から零れ落ちて。
 思わず、動揺した。
 生理的なものだろうと、頭の中ではわかっているのに。
 一筋零れ落ちた、涙。
 何度もみているし、何度も泣かせている。
 体が解けて行くのにあわせて潤んでいく瞳から、流れる涙なんて。
 なのに。
 思わず体から手を離して、けれど、こわごわと坂崎の顔近くに寄り、その涙を指先で拭う。
 親指の腹で、瞼から零れ落ちる軌跡をなぞると、涙はまるで零れ落ちなかったかのように跡形もなく消せた。
 本当に無かったように。
 涙を拭った親指もまた、その湿り気をすぐに曖昧な物に変えて。
「クソ…」
 言い様の出来無い感情が、体中を支配する。
 脱ぎ散らした衣服を身に着け、財布からホテル代を抜き出してベッドの上に撒き散らす。
 そしてそのまま。
 部屋を後にして。
「…クソ!」
 ホテルを飛び出して、ホテル街の道をただひたすらに繁華街に向かって走る。
 道行く誰かにぶつかったけれど、そのまま走り過ぎて。
 騒がしい人込みにまで辿り着いて、やっと歩調を緩めた。
「そんな」
 そんな筈は無い。
 あれは、ただ具合のいいだけの…
「そんな筈なか…」
 否定の言葉を合えて口にする事で、頭からその思いつきを振り払う。
 けど。
「…」
 手の平の、その指。
 なぜか震えながら涙を拭った親指の腹に唇で触れれば、紛れも無い事実の味がした。






















END
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